日経BP社
ISBN4-8222-4164-5
\1,500.
オフィス用品チェーン、チャールズシュワブ(証券会社)、通販業、保険・金融業、サウスウェスト航空(航空会社)、アメックス(旅行・金融業)というBtoCのサービス業の事例を集めている。
どの会社も、利益より顧客サービスを徹底しているという意味では、アメリカではサービスに定評がある会社である。業種は異なるが、顧客サービスという意味では、たまたま選んだ業種が証券だったり、通販だったということで、顧客サービスという点で、まったく同じような企業文化をもっている。
・まず、社員を重視する。
・社員を重視するから、社員は上司の顔を見ず、顧客の顔を向くことができる。
・採用する社員は企業文化を共有できる人を選ぶ。
・会社には業務に関するマニュアルはある。そのマニュアルは上からの指示で作られたものではなく、現場主義でつくられたものである。
・しかし、時と場合によってはマニュアルに囚われない、マニュアルを超えたサービスを提供することを考え、実践することが大切である。
・お客さまのクレームに真摯に構える
・お客さまのクレームこそ、会社のサービスをよくするヒントとなる
・ただし大半の会社はクレームを、きちんと処理できないでいる。クレームは文書に埋もれていることが多い。
などなど。
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サービス業の本領ありきという本かな。
驚いたのは、これらの企業での社員の評価は、営業マンも売上高で評価していない。顧客満足度で評価している点。評価はいろいろな視点があり、どれがベストとはいえないけれど、顧客満足度というので評価してうまくいっている企業があるのも事実である。
お客という立場で言えば、どんなことでも自分のために一所懸命やってくれる人はうれしい。失敗しても、きちんと対応してくれることは、さらにうれしい。
ただサービス業の経営の立場でいえば、時間やお金をかければサービスはどれだけもかけることができる。ただ、そのサービスにかかる費用にみあう利益を得ることができるかどうか問題だ。
しかし、こういう話がある。
客から機会あれば、お金をとろうと思っていると、お金はとれるものではない。
なぜならば、
- 敬遠するお客もいる
- 一度お金を払っても次は払わない
- お客からお金を全て取ったら、お客はもう払えない
お客もつらくなるし、お金をとろうとする私たちもつらい。これでは長くよい関係を築くのはむずかしい。
お客さんからお金をもらおうと思ったら、「気持ちよく」お金を払ってもらうことが大事。
手段としては、
1. 最初はむしろお金をとらないで、よい関係を築くことに専念する
2. そのうち、少しだけお金をもらう。できればお客にとって苦にならない金額で。
3. お金を払って、サービスを受けることが気持ちよくなる。そして、気持ちよいという感情が記憶される
4. お金を払うことが気持ちよくなるというパブロフ効果がうまれてくる。そして、いつの間にか抜け出せなくなる。
すると、お客さんは気持ちよくお金を払ってくれる、私もお金をたくさんいただけてうれしいという、Win&Winの関係を築くことができる。
上記の例えは少し言い過ぎではあるが、結果として「気持ちいい取引」というのを生み出して、サービスを受ける側と提供する側のよい関係を築くということが、結局企業として生き残ることになる。
あるいは「悪貨は良貨を駆逐する」というように、サービスの悪習は蔓延してやがて会社全体が悪いサービスとなる。そうなると、会社は立ち直れなくなるから、それを避けるために、徹底的によいサービスを追及するのかもしれない。
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これを書いていたら、いまでは大きくなった会社HISを思い出した。
20年ほど前、海外旅行をしようかなと思ったとき、名古屋駅のHISを訪ねた。私が中国へ行きたいというと、担当の女性の方はとても丁寧に対応してくれた。航空券、ビザ代、船代などで10万円も売上がないのにも関わらず、一緒に旅について話をしているという感じだ。当時のHISは旅好きな人たちがたまたま社員をやっているという感じだった。毎週のように社員が行った旅行を発表したり、壁一面に世界中を旅行した壁新聞を張っていた。サロン的な雰囲気をかもしだしていて、コーヒーなどを無料に振舞ってくれる。この事務所に来たときは、すでに旅が始まっているようなワクワクした感じがしたものだ。
私はそのときの感動で、中国から帰るとすぐに担当の女性の方に報告に行き、おみやげも渡した。
さらに世界一周旅行をすると決めたとき、その女性の方は熱心に耳を傾けてくれて、その女性が一緒に旅をするように思ってくれた。このときは片道の香港までの切符だから、もっと儲からない。申し訳なく思い、「すみませんねぇ。儲けさせてあげなくて」とせめてアメリカのビザの代行だけでもと代行をお願いした。
彼女からは、「もしよろしかったら旅先から絵葉書でも送ってくれるとうれしいな」といわれた。とてもうれしかった。絵葉書は送ったが、残念ながら1年と少しの旅を終えて帰ると、彼女はHISを辞めていた。
それから3年ほど経って、オーストラリアのシドニーでHISの支店があった。日本人が現地でがんばっていることがうれしかった。
アンセット航空の国内周遊券を購入するとき、予約ぐらいの英語は話せたので直接アンセット航空へ行けばよかったが、HISを応援したくてシドニー支店へ行った。そして、日本語で話しながら予約した。最後の最後になって、現地通貨がなかったので、クレジットカードで払う。
すると、「カードの場合5%の手数料がかかります。」
一瞬、「全部の予約を取り消してくれ」と思うほど、腹が立った。
そんな大事なことを後でいうなよ。金額にすると4000円ほど。
それ以来、HISを利用したくない。
HISへ行って悪い印象を思い出したくない、良い印象だけを大事にしたいからである。