居住、移転及び職業選択の不自由

朝は7時ころに目を覚ます。妻が6時頃に目覚まし時計のジリリリーンという
音でで起き、朝食を用意してくれると声をかけてくれる。私は目覚まし時計
では目を覚めないが、なぜか妻の「朝ごはんだよ。」という声には自然と反
応する。これが習慣になってしまったのだろうか?

起きると同時に居間までいく途中、キッチンから朝食の皿をついでに運ぶ。
それも日課となってしまった。妻とすれ違いざまに「おはよう」と言い、軽
くキスをする。娘はすでにテーブルについているので、「おはよう」と声を
かける。娘も「おはよう」と返事をする。

息子はまだテーブルにいない。
子どもたちの部屋へ行き、2段ベッドの下で布団を被っている息子を確認し
た。息子から布団をはがして様子を見た。

横になってうずくまっている。
今日は息子がニタと笑った気がした。
「おはよう」といいながら、私は息子の背中に手を入れた。
暖かい。背中をさすった。
まだ起きない。
お腹の方をさすった。

「お・は・よ・う」とゆっくりと耳元で囁いた。まだ起きようとしない。

「達也!起きろよ。学校に遅れるぞ」と少し大きな声で言って、トイレに向
かった。トイレを済ませ、寝ている間に口の中がべだっとしたのでうがいを
する。

まだ息子は起きてこない。

新聞を取って、朝食を食べ始めた。
「いただきます」と手を合わせて食べ始めた。妻も娘もほぼ同じタイミング
で「いただきます」と言って食べ始めた。朝食はたいて、トーストが半分、
卵に玉ねぎをからめていためたものかウィンナーやハム、そして牛乳とヨー
グルト。ちょっとしたアメリカンブレックファースト。

新聞を読みながら食べる。妻は新聞についてきたちらしを見ながら食べる。
娘はそのちらしの中からおもちゃ屋などの面白そうなものをもらう。私が何
かしながらでないとできないので、いつの間にか家族がそうなってしまった。

5分ほどして息子が起きてきた。
灯油ファンヒーターの前で「寒い」と言っている。ただなかなか着替えしよ
うとしない。妻や私が注意をしてやっと着替え始める。みんな着替えている
が、私だけパジャマだ。私だけパジャマで食べることを許してもらってい
る。朝のラッシュを避けるため9時ちょっと前に家をでるのだが、それまで
の夜更かしを解消するため、食後に二度寝をするからだ。

新聞を読むと「大府市、10月から小中学生は医療費無料に」という記事が
載っていた。少子化対策のための政策らしい。子どもはよく医者にかかる。
その医療費が不必要なのは助かる。

「大府市は10月から、子どもの医療費はただだって、いいね」
「へーいいねそれ。」
「引っ越そうか?」と軽く言ってみる。
妻は返事をしない。
そう簡単ではないか。

我が家も息子の発達障害の診療のため、少なくとも月2回は小児科にかか
る。もし子どもが病弱だったりした場合は助かるだろうなと思う。もしお金
がかかるようだったら、大府市へ引っ越すか?

うちは古いマンションとはいえ、賃貸ではなくて自宅だ。
簡単には引っ越せない。日本国憲法には居住の自由を有するとある。

日本国憲法第22条1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

しかし、実際には居住の自由は財産によって制限を受ける。
さあ引っ越そうと思っても家を建てるか賃貸条件を結ばないと引っ越せな
い。また職業選択の自由はあると書いてあっても、自由に職業を選べるわけ
ではない。

自由であることとそれを自分で獲得できることと別なのだ。

家を購入すると居住を続けることはできるが、移転は不自由になってしま
う。会社に就職すれば職業の選択はできなくなる。しかし不自由の代わり
に、住み続けることができ給与をもらって安定した生活を営むことができる。

さて、自由と安定のどちらを望むか?

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