名古屋でRubyの作者であるまつもとゆきひろさんと、EC-oneの社長でJRubyやRuby Business Commonsを展開している最首英裕さんの講演がありました。
まつもとさんの講演が1時間、最首さんの講演が1時間、そして最後に質疑応答でした。
技術者一般向けの講演なので、突っ込んだ話はありませんでしたが、Rubyという言語の紹介がありました。生で見て話を直接聞けたことは有意義でした。
印象に残ったところだけを独断と偏見で書き記しておきます。
まつもとさんの講演
Ruby言語(というよりもRuby on Railsの方なのかもしれませんが)、いろいろなところで使われ始めていて、しかも高負荷なところでも活躍されているそうです。
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ピーク時で1万セッション/秒 - 楽天のくじ
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2000アクセス/秒までOKな設計だけど、通常100~1000アクセス/秒
スクリプト言語で遅いという印象がありますが、やりようによって十分に対応できるという例を示しています。最首さんの話でも、ハードは安いから遅いんだったら、いくつでもサーバーを立ち上げればいいじゃない、そのためのクラウドのような環境ができているという話がありました。
Rubyは、人がストレスなく自然に使えることを目指して作られた言語です。
本当にやりたいこと以外の、宣言などをしなくてもいいようにしています。そのため、プログラマーにとっては純粋にプログラミングが楽しめる言語だと思います。Opinionated Software – ソフトがプログラミングに影響を与えています。
まつもとゆきひろさんは、一時期名古屋で仕事をしているとき1993年にRubyの原型をつくり1995年に発表したそうです。そういうことは、Rubyの発祥地は名古屋(科学館のある白川公園あたり)だといえるかもしれません。
最首さんの講演
ビジネスとRubyの関わりがテーマでしたが、前半はRubyに取り組んだ理由でもある扱いやすさについて話がありました。
後半は、今の劇的な金融危機とグローバル化の中で、ITビジネスのありかたについてでした。
ITビジネスにとって大切なのは、品質、納期は当然で、感動が大事だと思っていました。
しかしお客さんはコストを最重視します。中国やベトナムなどの安いエンジニアとは日本のエンジニアは太刀打ちできません。誰がやっても同じ仕事は、どんどん値段が安くなりやがて中国やベトナムとおなじぐらいの値段に落ち着くだろう。
値段競争に関わりたくないと思うならば、誰にもできないことをやるしかない。
以前は難しいと思われていた、ロードバランサー、Webサーバーの二重化、アプリケーションサーバーの二重化、データベースサーバーの二重化。それだけでなく、負荷に応じて、アプリケーションサーバーやデータベースサーバーの数を増やす。さらに地域をわけてリスクを分散させる。そういったことを実現するのにどれだけ時間がかかるか?
30分。
たとえば、Amazon EC2/S3を使えばそれができてしまう。
必要に応じてコストバランスを考えればいい。世の中は大きく変化している。
昔と違って、体力や資本がなくても、いろいろなことが実現できる時代にいる。今をリスクととるか、チャンスととるか。
EC-oneは最首さんが12年前に起業して4年で上場させた。しかし起業してから自分の思うような形に展開していないということで、Management By Outで自分で公開株買い付けをして、上場を取りやめるそうだ。
他にも福岡のことなどいろいろ面白い話を聞けた。
自分の考えとよく似ているなぁ。
いや自分は間違っていなかった。がんばろっと。